吐き気が続く原因はストレス?
吐き気とは、胃の内容物や胃液がのどにせり上がってきたり、吐きたくなるような感じのことを指します。医学においては、悪心や嘔気とも呼ばれます。
原因としては、ひどい緊張やストレス、お酒の飲み過ぎ、薬の副作用などが挙げられます。妊娠中の女性も、つわりとしてしばしば吐き気を感じます。
緊張やストレスが解消する・酔いから醒めるなどしてすぐに収まる吐き気については、基本的に心配はありません。また薬が原因になってひどい吐き気がある場合には、薬の種類や量を変更するなどの対応で、症状の改善が可能です。
しかし、中には感染性胃腸炎や機能性ディスペプシア、逆流性食道炎、急性胃炎などの病気を原因として吐き気が生じるケースがあります。
特に吐き気が続く・繰り返される・吐き気以外の症状があるといった場合には、お早目に当院にご相談ください。
吐き気以外に
こんな症状があれば
すぐに受診してください
吐き気に加えて、以下のような症状がある場合には、緊急性の高い病気が疑われます。すぐに当院にご相談ください。診療時間外であれば、救急外来を受診してください。

- 発熱、強い腹痛がある
- 黒い便が出た
- 吐き気や嘔吐によって水分・食事が摂れない
- 激しい頭痛がある
- 突然の強い吐き気とともに、冷や汗が出る
- 意識が朦朧としている
- 市販の吐き気止めを飲んでも改善しない
吐き気がある場合に
考えられる病気
逆流性食道炎
暴飲暴食などによる胃酸の過剰な分泌、不良姿勢・肥満などに伴う腹圧の上昇といった原因が重なり、胃酸が逆流して食道粘膜を繰り返し傷つけてしまう病気です。吐き気、胸やけ、のど・胃の痛みなどの症状が見られます。
機能性ディスペプシア
胃カメラ検査などで器質的な異常が認められないにも関わらず、胃もたれ、むかつき、ゲップ、お腹の苦しさなどの症状を伴う病気です。主な原因は、ストレスと言われています。その他、アルコールやカフェインの摂り過ぎ、喫煙なども原因になることがあります。
感染性胃腸炎
ウイルスや細菌の感染によって引き起こされる胃腸炎です。症状としては、下痢、吐き気・嘔吐、腹痛などがあります。その他、発熱、血便などが見られることもあります。治療では、脱水の予防も重要になります。
急性胃炎
暴飲暴食やストレス、痛み止めの薬・抗菌薬の内服などを原因として、胃に急性の炎症が起こります。胃やみぞおちのキリキリした痛み、吐き気・嘔吐といった症状を伴います。重症例では、吐血や下血も生じます。
慢性胃炎
主にピロリ菌感染を原因として、胃に慢性的な炎症を引き起こします。胃の痛みや不快感、吐き気といった症状が続く・繰り返されます。放置していると胃の粘膜が萎縮する萎縮性胃炎へと進行し、胃がんのリスクが高くなります。
胃・十二指腸潰瘍
ピロリ菌の感染、痛み止めの内服などを原因として起こる、胃や十二指腸の潰瘍です。胃やみぞおちの痛み、吐き気、むかつきといった症状が見られます。潰瘍から出血している重症例では、吐血や下血も伴います。
腸閉塞
腹部手術による腸管の癒着、ヘルニアなどを原因として腸が狭窄・閉塞し、便を適切に送り出せなくなった状態です。吐き気や嘔吐、腹痛などの症状を伴います。速やかに受診し治療を受ける必要があります。
糖尿病性ケトアシドーシス
糖尿病性ケトアシドーシスとは、インスリンがまったく、またはほとんど分泌されない1型糖尿病の方が陥る病態です。吐き気、意識障害などの症状を伴います。ごく稀に、2型糖尿病の人にも見られます。
その他
良性発作性頭位めまい症、心筋梗塞、くも膜下出血、髄膜炎、虫垂炎などの症状の1つとして、吐き気が生じることがあります。
吐き気がある時の検査と診断
問診・診察では、吐き気の程度や頻度、吐き気以外の症状、既往歴、服用中の薬、最近の食生活などについて詳しくお伺いします。
その上で、胃カメラ検査や血液検査、尿検査などを行い、診断します。その他、レントゲン検査、心電図検査、大腸カメラ検査、超音波検査などを行うこともあります。
吐き気の治療
逆流性食道炎、機能性ディスペプシア、感染性胃腸炎などの病気が見つかった場合には、その病気の治療を行うことで、吐き気を含めた症状の改善が期待できます。
病気の治療と並行して、あるいは病気を原因としない吐き気に対しては、以下のような治療を行います。
薬物療法
主に吐き気止めを使用します。吐き気止めにもいくつかの種類があり、吐き気のタイプ・副作用などを考慮しながら、適切なお薬を選択します。
ご希望がございましたら、漢方薬の処方にも対応します。
生活習慣の改善
暴飲暴食、不規則な生活、ストレス、睡眠不足などの生活習慣の乱れは、吐き気を引き起こす・悪化させることがあります。
これらの生活を改めることは、症状の早期改善と再発防止に役立ちます。
吐き気の対処法
安静
吐き気を感じた時には、まずは安静にしましょう。
ソファやベッドなどで横になる場合、仰向けは避けましょう。嘔吐した場合、吐しゃ物が気管を詰まらせることがあるためです。
また、起き上がる時にはゆっくりと身体を動かしてください。
深呼吸・ストレッチ
吐き気が軽く、緊張やストレスが原因と思われる場合には、深呼吸やストレッチによって心身をリラックスさせる方法がおすすめです。
飲み物
白湯、麦茶・番茶などのカフェインの入っていないお茶を少量ずつ飲みます。
ジュース、カフェイン入り飲料、冷たすぎるものは控えましょう。
食べ物
食欲がない場合、無理に食べる必要はありません。
少し食欲が出てきたら、消化の良いものを、普段より量を抑えて食べてみます。ごはん・おかゆ、具なしのうどん、食パン、スープ、やわらく煮込んだ野菜、白身魚、ヨーグルトなどがおすすめです。様子を見ながら、徐々に量、内容を普段のものへと戻していきます。